【金本 晟佳 020】成年後見制度と任意売却

家を売却するにあたっては通常に売る場合でも任意売却でも、所有者の明確な意思表示が不可欠です。
そして、不動産の購入や売却のみならず、預貯金などの財産を管理したり、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、認知症・知的障害・精神障害などの理由で判断能力の不十分な方は、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。
また、自分に不利益な契約であっても正しい判断ができずに契約を結んでしまい、後に被害を被る恐れもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援する成年後見制度というものがあります。

成年後見制度では判断能力の程度など本人の状況に応じて「後見保佐補助」の3つの制度があります。
本人、配偶者、四親等内の親族、検察官などが家庭裁判所に申立てることにより、
・判断能力が欠けているのが通常の状態の方=後見人
・判断能力が著しく不十分な方=保佐人
・判断能力が不十分な方=補助人
が選任されます。
また、身寄りがいないなどの理由で、申立てをする人がいない方の保護を図るため、市町村長に法定後見(後見・保佐・補助)の開始の審判の申立権が与えられています。

申立ての際に候補者が挙げられていれば、家庭裁判所はその候補者が適格かどうかを判断します。
通常は親族が選任されることが多いのですが、適切な親族が見当たらない場合などは弁護士や司法書士等が職業後見人として選任される場合もあります。

後見人、保佐人、補助人はそれぞれ本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などの法律行為をしたり、本人が自分で法律行為をするときに同意を与えたり、本人が同意を得ないでした不利益な法律行為を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
しかし、自己決定の尊重の観点から、日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については、取消しの対象になりません。

成年後見制度を利用するにあたっては申立手数料・登記手数料として3,400円の費用を印紙で納める必要があるほか、郵送等の実費や、必要な書類を取得するための費用、後見と保佐では、必要なときに本人の判断能力の程度を医学的に十分確認するために、医師による鑑定を行いますので、鑑定料が必要になります。鑑定料は個々の事案によって異なりますが、ほとんどの場合、10万円以下となっています。

また期間については、審理期間については、個々の事案により異なり、一概にはいえません。鑑定手続や成年後見人等の候補者の適格性の調査、本人の陳述聴取などのために、一定の審理期間を要することになります。多くの場合、申立てから成年後見等の開始までの期間は、4か月以内となっています。早ければ1~2週間で完了することもあるようです。

任意売却の相談を受けた際に、所有者の判断能力に応じて成年後見制度が必要な場合、上記のような期間が必要であったりご家族に対して適格なアドバイス等も必要になってきます。
判断能力の不十分な方に対して無理矢理売却を進めてしまい、後で無効になってしまっては誰も得しないどころか当事者全員に甚大なる迷惑をかけてしまうことにもなりかねません。
住宅ローン難民エールプランナーが適切な判断をし、ご本人やそのご家族に対して正しい選択肢へと導いてあげる必要があるのです。

Filed under: 住宅ローン難民,立川:基地 — 金本 晟佳 9:40 PM

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